ペットと人とが共に健やかに暮らせる社会の実現を目指して—

アイペット損害保険株式会社 取締役会長 山村 鉄平 さん

2021/10/29

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

ペットが病気やけがに陥った際に保険金が支払われることで、安心して治療を受けられるようにする「ペット保険」。そんなサービスを提供するアイペット損害保険(以下、アイペット)で社長を経て、現在会長を務めるのが山村鉄平さんだ。

高校時代、ラグビー部の仲間と

青春時代はスポーツと共にあった。立教高等学校(現?立教新座高等学校)時代はラグビー部に所属。「部活動を通して生涯の友人ができました」と語る。

立教大学では体育会アイスホッケー部に入部。「体が大きくないのでラグビー以外のスポーツを」と考えていた中で、アイスホッケーの試合を生で観戦し、ラグビー以上の激しさとスピード感に圧倒される。

「当時の立教のアイスホッケー部は、スポーツ推薦の学生を採っていない大学の中でトップクラスの成績を残していました。私のような未経験者でも活躍のチャンスがあり、かつハイレベルな舞台でプレーできる点が入部を後押ししました」

厳しい練習を重ね、2年次でレギュラーの座をつかむ。同期の未経験者では最速だった。

「1年次の3月に、生まれて初めて『限界』を覚えるほどハードな合宿を経験し、『この先どんな困難があっても大丈夫だ』と感じました。肉体的?精神的に鍛えられたという自負があったからこそ、社会人になってから数々のハードな仕事を乗り越えることができたのかもしれません」

体育会の活動を行う中で特に印象に残っているのが、公式戦開始時に学内のチャペルで行う「ユニフォーム祝福?推戴式」だという。

「パイプオルガンの演奏とともに始まり厳かに行われる、あの儀式は本当に格好良かった。『行くぞ!』と奮い立たせるものがありましたね。その度にチャペルのあるキリスト教の学校に入って良かったと思いました」

「一般的な」転職から3年で社長に

就職活動では金融業界を志望。

「いつかは会社経営に携わりたいという思いがあり、金融の知識を得ることはプラスになると考えました」

大手保険会社に就職し、営業やミドルオフィス(営業と事務をつなぐ中間部門)の業務に勤しむ。

転機となったのが入社16年目、38歳での転職だった。

「経営側の目線で働いてみたいという思いがくすぶっていて、自分の働きがダイレクトに会社の成長につながる規模の職場で働きたいと思ったのです。同年代で起業したり、ベンチャー企業で活躍したりする立教の仲間からも刺激を受けました」

しかし、コネクションがない「一般的な」転職活動は困難を極めた。

「今でこそ40歳前後での転職は珍しくありませんが、私が転職した2013年頃は明らかに需要がありませんでした。年齢を理由に面接すら受けられない状況が続きました」

それでも地道に転職活動を続け、アイペットへの入社に至る。

「絶対にできる」と信じて一歩踏み出すことが大切

大学時代、スケートリンクにてアイスホッケー部の仲間と

「当時、日本でのペット保険の加入率は数パーセントと非常に低く、業界に大きな可能性を感じました。また圧倒的なシェアを誇る企業があり、アイペットは2位だったものの、1位以外はほぼ横並びの状況でした。これまでの自分のキャリアで培った力やノウハウを生かせば、業界の勢力図を変えられるのではないかと思ったのです」

この思考は、大学時代に「自分の努力次第で活躍できるチャンスがある」とアイスホッケー部に入部した考えと通底する。

部長代理の肩書で入社後、まもなく着手したのが「販売のマルチチャネル化」だった。ペットショップが代理店となって保険を販売するスタイルが主流の中、Webチャネルの強化、特にスマートフォンでの申込みシステムの構築に業界でいち早く取り組む。そこに前職で培ったデータ分析やテレマーケティングの手法を掛け合わせ、飛躍的に契約件数を伸ばした。

その成果が評価され、入社後約1年半の間に部長、本部長、取締役と昇進を重ねる。

「いろいろな運や巡り合わせもあったと思います。ちょうどその時にWebに強い人材が入社したり、スマートフォンが普及したタイミングだったり」

そして2016年6月、社長に就任する。転職して3年での出来事だった。

「取締役になってからは、いつかは社長になる覚悟はしていました。ただ、こんなにも早くその日が来るとは驚きでした」

18年4月、マザーズ上場時

社長就任後、マザーズ上場や金融庁の検査が控えており、期待よりも不安の方が大きかったという。それでも山村さんがモットーとする「為せば成る」の精神で乗り越えてきた。

「挫折しそうな場面は多々ありましたが、その度に『絶対にできるんだ』と強く自分に言い聞かせてきました。思い返せば転職の際も、長年勤めた会社を辞めるのに怖さはありました。しかし『その状況に身を置けば、後はなるようになる』と、一歩踏み出す重要性をその時に学んだのです」

会長に就任した今、「ペットを迎え入れたら保険に加入するのが当たり前の世の中にしたい」と語る。経営理念である「ペットと人とが共に健やかに暮らせる社会をつくる」ことを目指し、さらなる事業領域の拡大を進めている。

卒業後も実感する立教の絆

山村さんに体育会以外の立教での思い出を聞くと、このような答えが返ってきた。

「池袋キャンパスの第一食堂には用がなくても頻繁に行っていました。そこには必ず知り合いがいて、話しているのが楽しくて仕方なかったんです。いろいろなタイプの学生と語り合い、多様な考え方に触れた経験は、その後の人生に大いに生きています」

高校から大学時代、仲間と羽目を外して楽しむこともあったというが「その一方で道徳心や良心、強く生き抜く力をしっかりと持っている。立教人に共通する気質かもしれません」。

社会人生活の中で立教人との絆を実感することも多い。

「立教は規模が大きすぎないせいか、母校愛や仲間意識の強い人が多いと感じます。元々の知り合いでなくても同じ立教卒というつながりだけで、親近感を持って接してくれる方がたくさんいる。例えば、新聞社で活躍する校友の方が私のことを記事にしてくださったこともありました」

「近年、積極的に改革に取り組んでいる立教大学に非常に期待している」という山村さん。最後に後輩たちに向けてこんなメッセージを送った。

「時代は一気に変わってきています。他人と同じことをやるのではなく、オリジナリティのあるアイデアを自分で考え、決断し、実行できる人間になってほしいと願っています」

プロフィール

PROFILE

山村 鉄平

アイペット損害保険株式会社 取締役会長
1993年 立教高等学校卒業
1997年 立教大学経済学部経済学科卒業

1975年生まれ。97年、安田生命保険(現?明治安田生命保険)入社。2013年、アイペット損害保険入社。マーケット戦略部を立ち上げ、インターネットやテレマーケティング、法人代理店などマルチチャネル化。営業企画管理本部長を経て、14年、取締役。16年、代表取締役社長執行役員。20年、アイペットホールディングス代表取締役CEO。21年6月より現職。

CATEGORY

このカテゴリの他の記事を見る

立教卒業生のWork & Life

2024/12/18

憧れのユニフォームを纏い、つかんだ夢の舞台で輝く

横浜DeNAベイスターズ 中川 颯さん

お使いのブラウザ「Internet Explorer」は閲覧推奨環境ではありません。
ウェブサイトが正しく表示されない、動作しない等の現象が起こる場合がありますのであらかじめご了承ください。
ChromeまたはEdgeブラウザのご利用をおすすめいたします。