受け継いだ伝統工芸、その価値を発信するのが私の使命
伊勢根付職人 梶浦 明日香さん
2017/10/16
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
観光学部を卒業し、今は伊勢根付職人として働いている梶浦 明日香さんからのメッセージです。
飛騨高山現代木彫根付公募展で優秀賞に輝いた、猿蟹合戦の根付。細かな彫刻が美しい根付は、高い集中力が求められる
大学卒業後の活動の場が、ずっと同じフィールドとは限らない。梶浦明日香さんが選んだのは、三重県伊勢の伝統工芸品である根付の職人としての道。伊勢根付は“木の宝石”と称される朝熊黄楊を用いた、およそ3?4cmほどの彫刻芸術で、丸みのある美しい細工が特徴だ。
大学卒業後、NHK名古屋放送局?津放送局のキャスターとして活躍していた梶浦さんは、「東海の技」というさまざまな伝統工芸士を紹介するコーナーで根付と出合った。
「どの伝統工芸も素晴らしく、これぞ日本が世界に誇るべき資源だと思いました。中でも根付は世界各地の人が買ってくれるため、日本であまり見かけない伝統工芸になっていた上に、若い職人がおらず技術存続の危機にひんしていました」
この素晴らしい文化を途絶えさせてはいけない。受け継いで、後世に残したい。強い思いを抱いた梶浦さんは、2010年、自ら後継者となる道を選んだ。
大学卒業後、NHK名古屋放送局?津放送局のキャスターとして活躍していた梶浦さんは、「東海の技」というさまざまな伝統工芸士を紹介するコーナーで根付と出合った。
「どの伝統工芸も素晴らしく、これぞ日本が世界に誇るべき資源だと思いました。中でも根付は世界各地の人が買ってくれるため、日本であまり見かけない伝統工芸になっていた上に、若い職人がおらず技術存続の危機にひんしていました」
この素晴らしい文化を途絶えさせてはいけない。受け継いで、後世に残したい。強い思いを抱いた梶浦さんは、2010年、自ら後継者となる道を選んだ。
学生時代のゼミ合宿で溝尾良隆先生(現?名誉教授)と共に
「学生時代、地域開発を考える溝尾良隆先生のゼミで学んでいたことも大きいと思います。ゼミでは、テーマとなる地域に足を運んでその地の魅力を探り、観光として何に力を入れればよいのかを考えました。本当は価値があるものなのに、その地域では当たり前の存在となっていて、価値が外部に届かず、失われつつある文化があることを学びました。伝統工芸もその道をたどっています」
技術を受け継ぐだけでなく、価値を発信していかなければならないと考えた。「発信すること」は、キャスターであった梶浦さんの得意とするところ。
技術を受け継ぐだけでなく、価値を発信していかなければならないと考えた。「発信すること」は、キャスターであった梶浦さんの得意とするところ。
若手職人グループ「常若」は、伝統工芸の精神を受け継ぎつつ、新しい時代に合った伝統工芸を作っていく
「2012年には、三重の若手の職人たちとともに、『常若』というグループを立ち上げました。伊勢根付だけでなく、型紙や一刀彫、漆芸などの伝統工芸の素晴らしさや、それを受け継ぐことの意味などを発信しています」
作品展示はもちろん、ワークショップを開催したり、Instagramでの作品紹介などを行ったりしている。
「まずは一人前の職人として、世界に誇れる作品を作ることが目標です。加えて、伝統工芸や職人の魅力をもっと伝えていきたい。職人は自分の力で仕事ができ、誇りを持って一生続けられる、いい仕事です」
日本の歴史の中で育まれたものを受け継ぎ、次の世代につなぐという使命を自らに課している梶浦さん。自分の将来を考える若者たちの就職先の選択肢として今後「伝統工芸の職人」が挙がるようになったなら、思いが一つ叶ったと言えるのかもしれない。
作品展示はもちろん、ワークショップを開催したり、Instagramでの作品紹介などを行ったりしている。
「まずは一人前の職人として、世界に誇れる作品を作ることが目標です。加えて、伝統工芸や職人の魅力をもっと伝えていきたい。職人は自分の力で仕事ができ、誇りを持って一生続けられる、いい仕事です」
日本の歴史の中で育まれたものを受け継ぎ、次の世代につなぐという使命を自らに課している梶浦さん。自分の将来を考える若者たちの就職先の選択肢として今後「伝統工芸の職人」が挙がるようになったなら、思いが一つ叶ったと言えるのかもしれない。
※本記事は季刊「立教」241号(2017年7月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
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プロフィール
PROFILE
梶浦 明日香さん
観光学部観光学科 2004年卒業
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。