日本とアフリカをつなぐ架け橋のような存在に

南アフリカ クルーガー国立公園 サファリガイド 太田 ゆかさん

2020/11/16

立教卒業生のWork & Life

OVERVIEW

観光学部交流文化学科を卒業し、南アフリカのクルーガー国立公園でサファリガイドの仕事をされる太田 ゆかさんからのメッセージです。

大自然での体験を人々に提供し環境保護に貢献する

日本人女性で唯一、南アフリカ政府公認のサファリガイドの資格を持つ太田ゆかさん。環境保全活動を行うボランティア団体で専属ガイドとして働いている。

「自然保護区の整備、ライオンやサイなどの野生動物の生態調査、密猟者の仕掛けたわなの回収といった活動を、サバンナを訪れた参加者を連れて行っています」

幼い頃から生粋の動物好きで、将来は環境保護に関わる仕事に就きたいと考えていた太田さん。どうすれば夢を実現できるか模索していた中で、転機となったのが、大学2年次に参加したサバンナ保全プロジェクトのボランティアだった。「水洗トイレもシャワーもない環境でしたが、想像をはるかに超えた大自然に魅了されました」と振り返る。

サファリガイドという職業も、この時、初めて目の当たりにする。

「サバンナならではの体験を人々に提供し、自然の尊さを理解してもらう仕事を通して、環境保護に貢献できると感じました」

大学3年次には1年間休学し、南アフリカにあるサファリガイド訓練学校に留学。

「当時は本当にサファリガイドになれるとは思っておらず、今後に生かせる経験を積めたらよいという気持ちでした。しかし訓練を受ける中で、この仕事がしたいと本気で考えるようになり、大学卒業後に南アフリカへ移住することを決心しました」

右も左も分からない南アフリカでの就職活動は一筋縄ではいかず、厳しい状況が続いた。

「南アフリカのサファリ業界では男性優位の風潮も根強く残っており、女性だからという理由で面接の機会すらもらえないこともありました」

現地の事情に精通している日本人をインターネットで見つけ、アドバイスを求めるなど、あらゆる手を尽くした。

夢を実現させ、サファリガイドとして数年の経験を積んだいま、「少しずつ存在を認めてもらえるようになりました」と太田さんは話す。

サファリでの仕事を支える観光学部での学びとつながり

大学時代にゼミ合宿で訪れた冬のモンゴル?ホスタイ国立公園にて

大学時代は観光学部に所属。さまざまな学びが太田さんのいまにつながっている。特に所属していた舛谷鋭教授のゼミでは、フィールドワークとして、屋久島、マレーシア、モンゴルなどの自然保護区を訪れる機会に恵まれた。

「観光?地域振興と環境問題との関係について実践的に学べたことは、現在エコツーリズムを提供する立場で働く中で生きています」

在学中に得たつながりも、仕事を行う上で大きな力となっている。

「観光学部では多くの学生が旅行関連企業等に就職します。先輩や友人から聞く仕事の話は、南アフリカで観光業に従事する私にとって役立つ場面が多々あります」

昨今のコロナ禍の影響により、サファリ業界は大打撃を受けている。太田さんがガイドを行うボランティアプロジェクトも停止となり、再開のめどは立っていない。そんな厳しい状況だからこそ、「いま自分にできることはないか」と考え、「バーチャルサファリ」を開始した。

環境保全ボランティア参加者を相手にガイドを行う様子

「サバンナの野生動物の様子をネットでライブ配信し、南アフリカの大自然を、画面を通して体験してもらおうという試みです。どんな状況でも、野生動物や環境保護に関する情報を発信し続けます」

コロナ禍以前も、太田さんが働くクルーガー国立公園を訪れる日本人旅行客は多くなかったという。「日本人女性サファリガイドである私だからこそできる仕事をし、もっと多くの日本の方に来ていただけるようにしたい」と使命感に燃える。

「サバンナの大自然を人々に体験してもらうことが、環境保護につながると信じています。日本とアフリカをつなぐ架け橋のような存在になることを目指していきたいです」

プロフィール

PROFILE

太田 ゆかさん

南アフリカ クルーガー国立公園 サファリガイド

2017年 観光学部交流文化学科卒業

バーチャルサファリ(Instagramにて随時案内中)
2時間のサファリドライブをライブ配信。どんな動物に出合えるか、一期一会の体験を日本に届ける。途中、質問の機会も設けている。

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