講演会「ヨガと心理学」開催レポート

心理芸術人文学研究所主催

2023/09/12

トピックス

OVERVIEW

7月15日(土)心理芸術人文学研究所主催により、講演会「ヨガと心理学」が新座キャンパスで開催されました。その様子を講義とワークショップに参加した佐藤可奈さん(現代心理学部3年次)が報告します。

現代心理学部心理学科3年次 佐藤可奈さん

私の母はヨガインストラクターをしており、私自身、その影響でヨガをしています。実際にヨガを行う中で、自分の気持ちが落ち着いていくような体験したことがあります。そのため、メンタルヘルスとヨガの効果については、以前から関心がありました。今回、心理学の視点から見たヨガの効果についての講演会が行われるということをお聞きし、是非参加したいと思いました。

講義の様子

講演会は、講義とワークショップの2部構成でした。講義パートでは、ヨガと心の関係について学びました。まず、驚いたのは、資料に記載された、「さまよう心は不幸せ」という題と一緒に示された図です。約46.9%と約半分の人が現在のことを考えておらず、別のことを考えながら生活しているそうです。これは、今を生きているのにも関わらず、今のことは考えていないということです。そのような状態は、脳の疲労、精神的ストレスに繋がるといいます。

今、この瞬間の体験に意図的に意識を向ける、マインドフルネスというものが注目されています。これは仕事や勉強の効率化、より良い人間関係の構築に繋がるといいます。マインドフルネスは人材研修や開発にも用いられているとのこと。

また、動きから心を整える身体心理学というものがあります。心の始まりは「動き」からであり、心身相関の関係が成り立つというものです。例えば、呼吸は興奮、沈静、姿勢は覚醒、まどろみ、筋反応は緊張、弛緩という作用を身体に及ぼすそうです。ヨガは、これらの呼吸、姿勢、筋反応を含んでいます。よって、ヨガで心を整えることが出来るのだそうです。また、ヨガの一連の動きを行うことで、一つ一つポーズを完成させていく達成感、自己効力感を得ることが出来るといいます。それが、ヨガを継続していくこと、また、ヨガのゴールであるサマーディという状態に繋がるといいます。サマーディとは「心が静まり、苦悩に揺れ動くことが無い状態のこと」だそうです。ヨガが精神的健康に良い理由は、マインドフルネスの状態に導きやすく、誰もがいつでも取り組める、そして身体心理学的なアプローチをとることが出来るからだとお話しされていました。また、身体の変化は正直であり、着実に進歩、結果を得ることが出来ると仰っていました。自分の取り組んだ成果を、身をもって感じることが出来るということは、継続していくことに繋がる、非常に大切な要素なのではないかと感じます。

ワークショップの様子

ワークショップでは、6号館のロフトに移動し、実際にヨガのポーズを取りました。ポーズ名と効果の記載された資料が配布され、ポーズとその効果を照らし合わせながら参加しました。資料を見て、1つのポーズにいくつもの効果があることに非常に驚きました。参加している全ての人が同じポーズを同時に行う一体感、そして一つの動きを作ることだけに集中するということで、今この瞬間に集中するということを体験しました。自分がいかに普段、他のことを考えながら生活しているかということを改めて感じました。講義を聞いてから実践することで、このヨガによる効果をより強く感じることが出来たと思います。実践を通して特に印象的だったのは、ポーズが上手く出来るか出来ないかではなく、自分の体の形、伸びに注意を向けていくという考え方です。ワークショップが終わるころには精神的な落ち着きを感じ、心が広くなったかのような感覚に包まれました。

佐藤可奈さん(左から2番目)

現代では先のことや過去の失敗、すでに終わったことばかりを考え、目まぐるしく、忙しい生活を送る方も多いのではないかと考えます。じっとしていることが許されないような空気感さえあると感じます。気が付くころには精神が疲弊してしまっているということもあるかもしれません。そのような世の中であるからこそ、多くの人が始めやすく、精神的健康に効果のあるヨガを行うことで、本来あるべき人間の姿を取り戻すことが出来るのではないかと考えました。ヨガが精神的健康に良いということは知っていましたが、今回の講演会から、その理由を心理学的な視点から学ぶことが出来ました。より一層、ヨガの効果に興味を持ちました。ワークショップで体験したポーズ以外にも沢山のポーズが存在するので、それらのポーズの効果についても今後具体的に調べてみたいと思います。

講師
大妻女子大学 人間関係学部人間関係学科社会?臨床心理学専攻教授
八城 薫 氏

※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。

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