連携講座「池袋学」|都市観光地としての池袋
柴田 修 さん(立教セカンドステージ大学 7期生)
2014/12/03
研究活動と教授陣
OVERVIEW
東京芸術劇場×立教大学主催 連携講座「池袋学」2014年度<秋季>
日時 | 2014年10月29日(水)19時~21時 |
会場 | 池袋キャンパス 14号館2階 D201教室 |
講演者 | 安島博幸(立教大学観光学部教授) |
レポート
東京芸術劇場と立教大学による連携講座「池袋学」。秋季第2回目となる今回は、「観光都市としての池袋」をテーマに開催されました。講師を務めたのは本学観光学部の安島博幸教授。安島教授は自身の研究と過去に手掛けられた各地の観光開発?計画の手法を参考にしながら、これまでの池袋を検証し今後の進むべき方向性について写真や地図を交えながら分かりやすい口調で説明され、予定の2時間も瞬く間に過ぎてしまいました。
地元池袋の方々、現役の学生、仕事帰りの社会人、そして私のような立教セカンドステージ大学の受講生と多種多様な人々が集う中、安島教授は参加者の不安を駆り立てるようなイントロダクションから講座を始めました。
最近の観光都市ランキング調査結果で、下位にランクされてしまった池袋。住みたい街でベスト3に入ったものの、2040年までに消滅する恐れのある自治体にノミネートされてしまった豊島区。日本全国の鉄道駅における1日の乗降客数では、池袋駅と新宿駅とで首位を競い合っているのにもかかわらず、観光雑誌などでの注目度は低く、クローズアップされることもほとんど無くなってしまったことなど?????? このまま進むと観光都市池袋には明るい未来を望むことができないという、非常に重い問題提起がなされました。
このような現状を踏まえた上で、安島教授は歴史的な側面から池袋の変遷を紹介されました。立教大学の校歌にもあるように、池袋は武蔵野の一角に位置しています。武蔵野という言葉には自然の豊かさと趣味の良さを感じますが、それを最初に発見したのは国木田独歩でした。そしてその趣味の良さを具現化するかのように、立教が移転した当時の池袋近辺には池袋モンパルナスが形成され、多くの画家たちが活動拠点とするなど、文化の発信地として機能していました。武蔵野の緑に囲まれつつ文化的価値を有していたことから、当時の池袋はまさに「住んで良し、訪れて良し」の街だったと言えるでしょう。
最近の観光都市ランキング調査結果で、下位にランクされてしまった池袋。住みたい街でベスト3に入ったものの、2040年までに消滅する恐れのある自治体にノミネートされてしまった豊島区。日本全国の鉄道駅における1日の乗降客数では、池袋駅と新宿駅とで首位を競い合っているのにもかかわらず、観光雑誌などでの注目度は低く、クローズアップされることもほとんど無くなってしまったことなど?????? このまま進むと観光都市池袋には明るい未来を望むことができないという、非常に重い問題提起がなされました。
このような現状を踏まえた上で、安島教授は歴史的な側面から池袋の変遷を紹介されました。立教大学の校歌にもあるように、池袋は武蔵野の一角に位置しています。武蔵野という言葉には自然の豊かさと趣味の良さを感じますが、それを最初に発見したのは国木田独歩でした。そしてその趣味の良さを具現化するかのように、立教が移転した当時の池袋近辺には池袋モンパルナスが形成され、多くの画家たちが活動拠点とするなど、文化の発信地として機能していました。武蔵野の緑に囲まれつつ文化的価値を有していたことから、当時の池袋はまさに「住んで良し、訪れて良し」の街だったと言えるでしょう。
さて、観光地の価値(魅力)とはどのように定義できるでしょうか? フランスの社会学者ピエール?ブルデューは観光地の価値を「差異化された記号」と定義しています。例えば「日本一」や「世界一」という記号は他の観光地との差別化を図る戦略でもあり、観光客も最先端の観光地に訪れることで他者に対して優越感を覚えます。このような定義に基づき、安島教授は「東京タワーと他のタワーの来客数の推移」や「東京ディズニーランドと他のテーマパークの観光資源価値の減少比較」について説明するとともに、各観光地の運営方法における「失敗事例の分析」や「成功事例の要因」についても述べられました。
観光地の中でも、1度行くだけで満足できる場所とリピーターとなり何度でも行きたくなる場所があります。通常、観光地の資源的価値は来客数に比例して消費?減少してしまいます。リピーターを創出するためには、その価値をいかに回復あるいは維持することに懸かっています。ただ単に箱物施設を造っただけでは、その観光地はすぐに飽きられ、忘れ去られてしまいます。例えば東京ディズニーランドにリピーターが多いのは、絶えず新しいアトラクションやイベントを企画して、観光需要の掘り起こしに成功しているからでしょう。このように、観光的価値の減少を防止するためには、常に他の観光地との差異化を図ることが求められているのです。
最後に、池袋の観光的価値を創造するためのヒントとして、安島教授は(1)未来都市のコンセプトとデザイン (2)歴史が見える都市軸?エリア (3)クリエイティブ?シティ(創造都市)の風景 (4)アジア的?日本的風景?日本の豊かな日常生活、という4つのポイントを提示され、本講座は終了しました。
この講座を受講して、現在の池袋には観光資源としての要素は十分すぎるほどあるにもかかわらず、全てが平均的で、アピールポイントが曖昧になっているのではないかと感じました。多様なショッピングやグルメスポット、オタク文化や芸術の楽しみ、学生街のにぎわい??????など、観光都市としての要素はすでに潜在しており、各分野の知恵と力を集結し周辺住民の意識を啓発して観光資源価値を構築していけば「魅力ある観光都市池袋」が誕生すると思いました。
安島教授ならびに本講座主催の関係者の皆さまのご尽力により、充実した時間を皆さんと共有できたことに感謝致します。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
観光地の中でも、1度行くだけで満足できる場所とリピーターとなり何度でも行きたくなる場所があります。通常、観光地の資源的価値は来客数に比例して消費?減少してしまいます。リピーターを創出するためには、その価値をいかに回復あるいは維持することに懸かっています。ただ単に箱物施設を造っただけでは、その観光地はすぐに飽きられ、忘れ去られてしまいます。例えば東京ディズニーランドにリピーターが多いのは、絶えず新しいアトラクションやイベントを企画して、観光需要の掘り起こしに成功しているからでしょう。このように、観光的価値の減少を防止するためには、常に他の観光地との差異化を図ることが求められているのです。
最後に、池袋の観光的価値を創造するためのヒントとして、安島教授は(1)未来都市のコンセプトとデザイン (2)歴史が見える都市軸?エリア (3)クリエイティブ?シティ(創造都市)の風景 (4)アジア的?日本的風景?日本の豊かな日常生活、という4つのポイントを提示され、本講座は終了しました。
この講座を受講して、現在の池袋には観光資源としての要素は十分すぎるほどあるにもかかわらず、全てが平均的で、アピールポイントが曖昧になっているのではないかと感じました。多様なショッピングやグルメスポット、オタク文化や芸術の楽しみ、学生街のにぎわい??????など、観光都市としての要素はすでに潜在しており、各分野の知恵と力を集結し周辺住民の意識を啓発して観光資源価値を構築していけば「魅力ある観光都市池袋」が誕生すると思いました。
安島教授ならびに本講座主催の関係者の皆さまのご尽力により、充実した時間を皆さんと共有できたことに感謝致します。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合がありますのでご注意ください。
CATEGORY
このカテゴリの他の記事を見る
研究活動と教授陣
2024/12/20
今の努力が、新たな知の扉を開く——立教大学×高志高等学校
立教大学特別授業