“先生 ”になって法学の学びの楽しさを伝えたい!「法教育実践 演習」
法学部法学科 山口 敬介 准教授
2017/08/04
研究活動と教授陣
OVERVIEW
法学部のゼミでは実際に下された裁判例の検討などをすることが多いが、山口ゼミは自ら学び得た法学の知識を、中高生向けの“授業”をつくり、実際に教える機会を持つことでさらに深い理解と学びの楽しさを実感できる。
講義の流れ
2年生から4年生で構成されるゼミ生を学年関係なく3班に分け、班ごとに、 まだ法学に触れたことのない中学生や高校生を対象とした〝授業〞を企画、 制作。 演習中にリハーサルを何度か行い批評し合うことで内容を収斂し、 完成させた〝授業〞を中高生に向け行う。
本当に法学部のゼミ!? 授業づくりが楽しすぎる!
大学では法学部で法を学びたい、今からそう考えている高校生も多いだろう。ただそれはあまりにも漠然としていて、法学部ではいったい何を学ぶのか、その明確なイメージを高校生のうちから持つのは難しいかもしれない。その学びの漠然としたイメージを一つの形として明確にしてくれるのが山口先生のゼミ「法教育実践 演習」である。
「法学部で日頃勉強していること、その学びから得たものを〝他人に教える〞ということを通して自分たちがより学び直すことを最終的な目的としています」と山口先生が話すように、このゼミでは、実践を通じて、各自が法学部に入ってわかった「法」や「法学」の意義、面白さを、法を学んでいない人にわかりやすく伝える能力を養うという。
「〝授業〞をつくると言っても、それは決して簡単なものではありません。〝授業〞を一つの形にするまでの過程は学生が考える以上に負担も大きいはずです。しかし、全員が同じように学んでいる法学について、どんなところが面白いのかを話し合い、その面白さをできる限りの力を尽くして伝えようという、それを一つの形にしていく共同作業の楽しさはその苦労を超えるものなのだと学生たちを見ていて思いますね」
そして今日は初めての〝授業〞リハーサル。間もなく発表する学生たちの緊張が伝わって来る。
「法学部で日頃勉強していること、その学びから得たものを〝他人に教える〞ということを通して自分たちがより学び直すことを最終的な目的としています」と山口先生が話すように、このゼミでは、実践を通じて、各自が法学部に入ってわかった「法」や「法学」の意義、面白さを、法を学んでいない人にわかりやすく伝える能力を養うという。
「〝授業〞をつくると言っても、それは決して簡単なものではありません。〝授業〞を一つの形にするまでの過程は学生が考える以上に負担も大きいはずです。しかし、全員が同じように学んでいる法学について、どんなところが面白いのかを話し合い、その面白さをできる限りの力を尽くして伝えようという、それを一つの形にしていく共同作業の楽しさはその苦労を超えるものなのだと学生たちを見ていて思いますね」
そして今日は初めての〝授業〞リハーサル。間もなく発表する学生たちの緊張が伝わって来る。
知らない人にわかりやすく伝える難しさを実感
今回リハーサルを行うC班の授業テーマは「身近な決まりから法的思考力を学ぼう」というもの。中学生や高校生でもイメージしやすい〝公園の決まり〞を主軸に進められる。この〝授業〞では課題として2つのディスカッションが設定されており、1つ目のテーマは「公園の禁止の決まりによる第二次?第三次被害について考えてみよう」 、2つ目は「個々のきまりの是非を考える前提として、そもそも公園とは何のためにある場所か、公園のきまりは何のためにあるのかを考えてみよう」である。この2つのディスカッションを通して、法学部生に必要な力である「法的思考力」とは何か、その法的思考力を使って何を学ぼうとしているのかを、授業内で出てきた事例に当てはめて中高生に伝えるということを目標に授業が構成されている。
「公園に遊戯禁止というきまりがあったらどうなると思いますか」という問いかけに、生徒に見立てられた学生は「子どもが遊べないだけでなく、ゲートボールなどで交流を楽しむ高齢者も公園を使えなくなるし、その結果、孤独死が増える!」と過激な答えを披露するなど、時には笑いも交えつつ〝授業〞に和やかに楽しく臨む姿が印象的だ。
しかしその〝授業〞が終わると学生たちの様子が一変する。先ほどまでの和やかだった空気が一瞬にしてピリッとしたものに変わった。 「1つ目のディスカッションのテーマがわかりづらい」 、 「被害という言葉ではなく、デメリットという言葉を使ったほうがいいのでは?」 、 「デメリットを出すならメリットも出したほうが、相対効果が得られる」などなど、次から次へと今回の〝授業〞への意見が出てくる。それも全て「こうしたらもっと良くなる!」という、発表を行った学生たちへの一途で真剣な思いからだ。
「公園に遊戯禁止というきまりがあったらどうなると思いますか」という問いかけに、生徒に見立てられた学生は「子どもが遊べないだけでなく、ゲートボールなどで交流を楽しむ高齢者も公園を使えなくなるし、その結果、孤独死が増える!」と過激な答えを披露するなど、時には笑いも交えつつ〝授業〞に和やかに楽しく臨む姿が印象的だ。
しかしその〝授業〞が終わると学生たちの様子が一変する。先ほどまでの和やかだった空気が一瞬にしてピリッとしたものに変わった。 「1つ目のディスカッションのテーマがわかりづらい」 、 「被害という言葉ではなく、デメリットという言葉を使ったほうがいいのでは?」 、 「デメリットを出すならメリットも出したほうが、相対効果が得られる」などなど、次から次へと今回の〝授業〞への意見が出てくる。それも全て「こうしたらもっと良くなる!」という、発表を行った学生たちへの一途で真剣な思いからだ。
人に教える経験から法学の面白さが浮き彫りに
「こうしたやりとりを通じて学生たちにはまず法学の面白さを知ってほしいですね」と山口先生。 「法学部に入る動機は人それぞれで、法学部が何を学ぶところかわからずなんとなく入ってくる学生も意外に多いです。でも入ったからには、法学の面白さを実感して自分が4年間でこういうことを勉強したんだと自信を持って人に言えるようになってほしいんです」 。 さらに「この経験を通して、 『こういう場面では、こういう法律がある』といった知識の獲得にとどまらない、 法 ? 法学の意義が見出せたとき、この学問の面白さをきっと実感できるはず」と山口先生は力強く語る。また、その経験から得た自信が、現代社会における法のあり方や法を活かし生きることを考える大きなきっかけとなる。これが、山口先生が学生たちに伝えたい 「法学」 なのである。
先生に聞きました!どんな学生に来てほしい?
私たちの周りにはいろいろなルールがあります。皆さんにとっては、校則などが身近でしょうか。
皆さんは、これらのルールはそもそも何のためにあるのだろうか、もっとこういうルールならいいのになどと考えたことはありませんか。法は、よりよい社会をつくるための一つのツールです。
法学部では、現在の法がどのような目的で存在しているのか、それを改善してよりよい社会をつくる方法はないか、ということなどを考えます。「法を通じて、社会のあり方を考える」営みを、おもしろいかもと少しでも感じた皆さん、ぜひ法学部に!
皆さんは、これらのルールはそもそも何のためにあるのだろうか、もっとこういうルールならいいのになどと考えたことはありませんか。法は、よりよい社会をつくるための一つのツールです。
法学部では、現在の法がどのような目的で存在しているのか、それを改善してよりよい社会をつくる方法はないか、ということなどを考えます。「法を通じて、社会のあり方を考える」営みを、おもしろいかもと少しでも感じた皆さん、ぜひ法学部に!
学生に聞きました! 講義?大学?将来の夢
齋藤 美紅さん(左) 法学部 法学科3年生
2年間法学を学んできて、人に一番近いと感じる民法に興味を持ちました。その民法系のゼミを探していたとき、山口先生の法教育のゼミに出会い、机上で学んだことを社会に向けてアウトプットできるという点に大きな魅力を感じて入ったのがきっかけです。このゼミはメンバー同士仲が良く、学年を超えて互いに切磋琢磨しながらステップアップできるところが魅力です。今後も自分が学んだことを積極的に発信していきたいと思っています。
堀内 遼太郎さん(中央) 法学部 法学科3年生
同じ法学部法学科で学んだ3つ上の姉が山口先生のゼミで学んでいました。なので、このゼミに入る前からその良さを知っており、ぜひ自分も入って法教育を体験してみたいと思い入りました。このゼミの一番の魅力は、学生たちで協力して授業を企画しつくることだと思います。自分たちで全て考え、中高生に教えるというのはとても貴重な機会だと思って取り組んでいます。
根岸 優一さん(右) 法学部 法学科3年生
僕自身はこのゼミの“授業”という一つのものをみんなで協力して作り上げるところにやはり大きな魅力を感じています。将来、どんな職業に就くにしても、人に何かを伝える力は大切だと思うのですが、その点、このゼミは、法学を知らない人に、自分たちの伝えたいことを相手の立場に立ってしっかり伝える力を身につけられる場だと思うので、頑張って取り組みたいです。
※この記事は、東進タイムズ編集部「東進タイムズ講義ライブ号」の内容をもとに再構成したものです。
2年間法学を学んできて、人に一番近いと感じる民法に興味を持ちました。その民法系のゼミを探していたとき、山口先生の法教育のゼミに出会い、机上で学んだことを社会に向けてアウトプットできるという点に大きな魅力を感じて入ったのがきっかけです。このゼミはメンバー同士仲が良く、学年を超えて互いに切磋琢磨しながらステップアップできるところが魅力です。今後も自分が学んだことを積極的に発信していきたいと思っています。
堀内 遼太郎さん(中央) 法学部 法学科3年生
同じ法学部法学科で学んだ3つ上の姉が山口先生のゼミで学んでいました。なので、このゼミに入る前からその良さを知っており、ぜひ自分も入って法教育を体験してみたいと思い入りました。このゼミの一番の魅力は、学生たちで協力して授業を企画しつくることだと思います。自分たちで全て考え、中高生に教えるというのはとても貴重な機会だと思って取り組んでいます。
根岸 優一さん(右) 法学部 法学科3年生
僕自身はこのゼミの“授業”という一つのものをみんなで協力して作り上げるところにやはり大きな魅力を感じています。将来、どんな職業に就くにしても、人に何かを伝える力は大切だと思うのですが、その点、このゼミは、法学を知らない人に、自分たちの伝えたいことを相手の立場に立ってしっかり伝える力を身につけられる場だと思うので、頑張って取り組みたいです。
※この記事は、東進タイムズ編集部「東進タイムズ講義ライブ号」の内容をもとに再構成したものです。
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教員プロフィール
Profile
山口 敬介
2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法学政治学研究科法曹養成専攻専門職学位課程修了。最高裁判所司法修習生(新62期)、東京大学大学院法学政治学研究科助教等を経て2012年10月より立教大学法学部法学科および立教大学大学院法学研究科法学政治学専攻准教授。日本私法学会、法と教育学会会員。専門は民法学。